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SUS304とSUS316の違い

SUS304とSUS316はともにオーステナイト系ステンレスです。SUS316にはモリブデンが添加されており、物性にも大きな違いがあります。この記事ではSUS304とSUS316の違いを解説しています。

SUS304の特徴

SUS304はステンレス・SUSの全生産量60%を占めるオーステナイト系ステンレスの代表格です。常温でのプレス加工や絞り加工(冷間加工)と、溶接加工がステンレスの中でもトップクラスにしやすいという特徴から、最も汎用的なステンレスとして、使用頻度が高い金属です。

身の回りにある家庭用品から、建築物の内外装、工場の設備などに使用されています。18%のクロムと8%のニッケルが含まれていることから18Cr-8Niと表示されることもあります。

このクロムとニッケルの含有量がステンレス・SUS金属の中では少ないので、節約型ステンレスと呼ばれることもあります。そのため価格も比較的安価です。

非磁性の金属ですが、機械加工することでマルテンサイト組織が形成され磁性を持つようになることがあります。

SUS316の特徴

SUS316はSUS304にモリブデン(Mo)を添加し、耐食性、耐孔食性を向上させた非磁性の金属です。

ステンレスが錆びにくい金属である理由は不動態皮膜という薄い酸化膜に表面を覆われているためです。
含まれているクロムがこの酸化膜を作り、これが傷ついても自己修復することで、錆を防いでいます。

しかし、不動態皮膜があるといっても海水などの塩化物イオンが多い環境では皮膜の効果も不安定になります。
そこで、モリブデンを添加することでクロムの自己修復作用を高め、より腐食に強くしたのがSUS316です。

不動態皮膜は全面で破壊されることはなく、ステンレスに錆が発生するときは部分腐食から始まります。
部分腐食の代表が孔食(点状の錆)であり、この発生のしやすさはステンレスの成分によって異なります。

SUS316はモリブデン(Mo)とニッケル(Ni)の含有量がSUS304よりも多いため、腐食・孔食に対する耐性が高い金属です。
モリブデンを含む分、SUS304よりも高価な金属であるため、部品の使用環境・用途を考慮した上で選択することをおすすめします。

沿岸部など海水を含む水に触れる箇所、潮風の影響を受ける環境で、腐食した際に重大な欠陥に繋がる恐れがある可能性のあるところに適しています。
厳密には上記のような条件下では、SUS316以上の耐食性のあるステンレスが材質選定時の候補になります。

SUS304とSUS316の特徴比較

それぞれの特徴を簡単にまとめると、以下の表のようになります。
これはSUS304とSUS316での相対的な特徴であるという点にご注意ください。

耐食性磁性加工性価格
SUS304劣るなし※優れる安い
SUS316優れるなし劣る高い

※機械加工により磁性を持つようになる可能性あり。

SUS304とSUS316の物性比較

化学成分炭素(C)ケイ素(Si)マンガン(Mn)リン(P)硫黄(S)ニッケル(Ni)クロム(Cr)Mo
SUS3040.08以下1.00以下2.00以下0.045以下0.030以下8.0-10.518.0-20.0
SUS3160.09以下1.01以下2.01以下0.045以下0.030以下10.0-14.016.0-18.02.0-3.0
物理的性質密度(kg/m2縦弾性係数(Gpa)比電気抵抗(常温)μΩ・cm比熱((0~100℃)KJ/kg ・K)熱伝導率((100℃)W/m・K)熱膨張係数(0~
100
℃)X10-6
SUS3047930193720.516.317.3
SUS3167980193740.516.315.9
機械的性質耐力 (N/m㎡)引張強さ (N/m㎡)伸び (%)絞り (%)HBHRBHV
SUS304205以上520以上40以上60以上187以下90以下200以下
SUS316205以上520以上40以上60以上187以下90以下200以下

Point

・SUS316はSUS304にモリブデンを加え、耐食性を強化した金属です。より腐食の可能性が高い環境に適しています。
・SUS316は機械加工後もほぼ非磁性のままですが、SUS304は加工後に磁性を持つようになる可能性があります。
・価格はSUS304よりもSUS316の方が高額です。これはSUS316にはモリブデンが添加されているためです。

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