金属加工のワンポイント講座

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ステンレス・SUSの特徴【ステンレス加工・SUS加工】

ステンレス・SUSの代表的な特徴は、耐食性が高く錆びにくいことです。
建築、土木分野では、構造物や建造物の基礎や骨格を支える高耐久のステンレス鉄筋・形銅から、風雪や塩害に耐える外装・屋根材の薄板まで、耐食性の高いステンレス(SUS)がよく使用されています。

ステンレス・SUSの特徴

ステンレス・SUSには耐食性が高いという特徴以外にも、強度面、加工面で特徴があります。

耐食性に優れている

主成分は鉄で、クロムを加えることで表面に不動態被膜ができることで錆びにくくなっています。
そのためステンレス製の製品は寿命が長く、修復交換の頻度を少なくすることができます。
決して錆びないというわけではないので、錆びやすい環境下での使用では他の金属ほどではありませんが、メンテナンスが必要です。

鉄・鋼より強度が高い

鉄・鋼より強度が高く、耐久性が求められる場でも使用されます。
建築・土木分野では構造物や建造物の基礎や骨格にも使われます。

溶接加工ができる

ステンレス・SUSは溶接加工が可能です。
ステンレス・SUSは種類が多く、種類ごとに溶接特性が大きく異なり、成分でさらに細分化されるので難易度は他の金属の溶接に比べ高いです。

磁性を帯びない種類がある

SUS303、SUS304といったオーステナイト系ステンレス・SUSは磁性を帯びません。
この性質を利用して、見た目で見分けがつかない場合でも、磁石を利用して種類のおおよその判別ができます。

難削材である

ステンレス・SUSは熱伝導率が低いため、切削加工時に発生する熱が逃げにくく工具の摩耗が激しい金属です。
さらに加工硬化性(対象物に応力を加えると、硬さが増す性質)が高いことも工具の摩耗を助長します。
特にオーステナイト系ステンレスの代表のSUS304は加工硬化を起こしやすい材料で、もとの組織からマルテンサイト化して硬くなります。

工具との親和性も高く、切り粉が刃物に溶着しやすくチッピングが発生します。
そのため加工精度を維持するのが他の金属に比較して難しくなります。

上記の要因がステンレス・SUSが難削材と言われる理由です。

ステンレス・SUSの種類と用途

ステンレス・SUSは、含有物の量と熱処理による温度によって結晶構造が変化します。
結晶構造の違いはそのまま性質の違いになり、幅広い用途でステンレス・SUSを使用することができます。
下記では系統別に紹介していきます。

ステンレス・SUSの種類一覧

マルテンサイト系ステンレス

マルテンサイト系ステンレス・SUSには12%クロム鋼と17%クロム鋼がJISで制定されています。
12%クロム鋼にはSUS403、SUS410、SUS420J1、SUS420J2、17%クロム鋼にはSUS440A、SUS440B、SUS440Cがあります。
マルテンサイト系は、加工するときは柔らかい状態に、部品として使用する時は最大限強い状態にできます。
比較的安価なクロムを含有させるため、材料コストも安く、一般的なステンレスステンレス・SUSとして様々な用途に使用されています。
固く摩耗しにくく、靭性(材質の粘り強さ)も付与できるので、機械構造部分(タービンブレード、ノズル、ポンプなど)や軸受などにも使用されています。

フェライト系ステンレス

フェライト系ステンレス・SUSには、17%クロム鋼よりも多くのクロムを含むことで耐食性をアップさせた26~30%クロム鋼があります。
17%クロム鋼にはSUS405,SUS430,SUS434などが、26~30%クロム鋼にはSUS447,SUSXM27などがあります。
フェライト系ステンレスは室温でも高温でもフェライト(酸化鉄を主成分とするセラミックの総称)が安定で、急冷しても焼き入れで固くならないクロム系ステンレスです。
高価なニッケルを含まないので、比較的安価でかつ耐食性にすぐれている特徴があります。
しかし、クロム含有量が多くなることで、強度が低下し、脆くなりやすい性質を持っているので、強度を必要とされる部品には使いにくいデメリットがあります。
それでも安価で優れた耐食性を持つフェライト系ステンレスは、その長所を生かして厨房用品、自動車部品、建築内装、灯油暖房機、反射板(BA板)、ガスや電気機具の部品などに、薄板や線状素材として使われています。

オーステナイト系ステンレス

オーステナイト系ステンレス・SUSは、製造量が全ステンレス生産量の60%を越える、最もメジャーなステンレスです。
結晶構造の特性として、加工しやすく、室温でプレス成形や冷間鍛造など、生産性の高い部品加工方法が採用できること、溶接施工性が良いため、溶接組立て構造を採用しやすいなどがあります。
18%のCr、8%のNiを含んだSUS304が代表例で、その他、2%モリブデンを含むSUS316、チタンやニオブが添加されているSUS321,SUS347など多くの種類があります。
用途範囲は非常に広く、厨房用家庭用品、食品・化学工業、自動車部品、原子力発電、LNGプラント、先端科学を含む理化学装置などに利用されています。

オーステナイト・フェライト系ステンレス

この系統のステンレス・SUSは、オーステナイト系とフェライト系の中間的な特性を持つものが多く、強度が強く耐食性に優れているのが特徴です。
これらの特性により、海水用復水器、熱交換器および排煙脱硫装置などの公害防止機器や各種化学プラント用装置に用いられています。
代表的なものには、クロム25%、ニッケル4.5%、モリブデン2%を含むSUS329J1があります。

析出硬化系ステンレス

耐食性の良いステンレス・SUSに、析出硬化によって高強度を持たせたステンレステンレス・SUSです。
析出とは液状の物質から結晶または固体状成分 が分離して出てくることを言います。
JISではSUS630、SUS631、SUH660の三種が定められていますが、海外では非常にたくさんの鋼種が開発され、実用化されています。
用途は、高強度を有する点から、マルテンサイト系ステンレスと重複しますが、より耐食性と溶接性が高いのでエンジン部品、航空機・ロケットなどの構造材、スプリング、ワッシャーなどに利用されています。
ちなみに、析出硬化系ステンレスと前述したオーステナイト・フェライト系ステンレスは、原材料が高いこと、製造が難しいこと、工程が複雑なことなどにより、他のステンレス(SUS)に比べると高価です。

ホット材とコールド材

ステンレス・SUS材は、製造方法と表面状態が密接に関係しています。
製造工程の中で、ホット材とコールド材に分かれます。

ホット材

熱間圧延材とも呼ばれます。(圧延は回転する複数個のローラーの間に金属を通し、板状等の形に加工する方法です)
熱間圧延は、金属の再結晶温度よりも高い900~1200度で加工します。
加工後、酸化膜や汚れに覆われている表面を酸で洗い流しますが、粗い状態です。(艶のない、梨地のような表面になります)
1番目の加工工程で仕上がるので、No.1材とも呼ばれています。
ホット材は加工工程での内部応力をほとんど持たないので、加工を加えても材料が変形することがない安定した材料です。
ただし、表面を綺麗に仕上げるためには追加で加工が必要です。

コールド材

ホット材を冷間圧延した材料のことです。
冷間圧延は、金属の再結晶温度よりも低い、720℃以下で加工します。
表面は光沢があり、つるっとした仕上げになります。
2番目の加工工程でできあがるので、No.2とも呼ばれ、光沢を意味するブライトのBと合わせて2B材とも呼ばれています。
コールド材は加工工程での内部応力を持っているため、加工した際に歪が発生しやすいです。
特に巾や長さ方向への加工は、あまり加えないことが望ましいです。

ステンレス・SUSの表面処理

ステンレス・SUS表面処理一覧

ステンレス・SUSには様々な表面仕上げがあります。
仕上げ方法により表面に光沢がある・ない、模様が入っている等といったように変わってきます。
以下の表で主な表面処理・及びどのような見た目になるかを紹介します。

名称見た目仕上げの方法用途
No.1銀白色で光沢がない 熱間圧延後、酸洗で仕上げたもの 表面の光沢が必要とならない部品等に使用されます
2B材 少しだけ光沢があります 冷間圧延(製造上の2番目の工程でできます) 一般的工材(市販品の多くは2B材です)
2D材 灰色で艶消しのような仕上げ 冷間圧延後、焼鈍→酸洗で仕上げたもの 建材などの一般的工材
No.3 光沢あり。粗い目の仕上げ 100~120番のベルトで研磨処理したもの キッチン等の厨房用の材料
No.4 光沢あり。こまかい目の仕上げ 150~180番のベルトで研磨処理したもの 医療機器・車両・厨房用の材料
#240 細かい目の研磨仕上げ 240番程度のベルトで研磨処理したもの 医療機器・車両・厨房用の材料
#320#240よりさらに細い目の研磨仕上げ320番程度のベルトで研磨処理したもの医療機器・車両・厨房用の材料
#400鏡面に近い光沢400番のバフ研磨で仕上げたもの表面の光沢が求められる部品。装飾用など

ステンレス・SUS加工が難しい理由

溶接加工の場合

ステンレス・SUSは溶接加工をすることができますが、その加工には細心の注意が必要です。
特に溶接後のスケールと呼ばれる溶接焼けです。
この部分は単に外観の悪化となっているだけではありません。
ステンレス・SUSの成分変化を起こし、腐食から守る不動態被膜を破壊しています。

この溶接焼け部分では、クロム(Cr)の拡散現象が起こり、クロムの含有量が低下しています。
これにより、ステンレス・SUSの特徴が発揮できるクロム含有量のライン(12%)を下回り、耐食性に大きな悪影響を与えます。

放置すればここから腐食が進んでしまうため、除去する必要があります。
しかし、スケールは非常に硬く除去作業は容易ではありません。

さらに除去後には再び破壊された不動態被膜を形成する処理も必要です。
その後孔食や全面腐食となる原因になりかねない部分ですので、加工者には十分な知識と技術が求められます。

切削加工の場合

ステンレス・SUS加工の中で最も難しい加工は切削加工と言われています。
その理由の1つに熱伝導性の低さがあります。

金属を切削加工すると、その抵抗により加工熱(おおよそ800~1200°)が発生します。
通常その熱は切粉に分散し、切粉は切削油とともに逃げていきます。
しかし、ステンレス・SUSは熱伝導率が非常に低いので熱が切粉に伝わりにくく、低温の切粉が加工品に溶着し、加工の難易度を上げる一因となっています。

また、行き場を無くした熱は切削工具へと溜まってしまうため、工具刃先の欠けや焼け付きなどの工具の欠損を引き起こすことがあります。

もう1つ加工が難しい理由に、硬さがあります。
ステンレス・SUSには加工硬化という負荷を与えることでより硬くなる性質があります。
元々硬い金属がさらに硬くなってしまうので、適切なクーラントを選んで温度が高くなりすぎないように調整する必要があります。

メタルスピードのステンレス加工・SUS加工

ステンレスを切削加工する際は、他の材料を加工する時とは違った加工時の冷却方法を行うことで、さまざまな形状の再現を可能としています。
冷却方法だけでなく、ステンレス・SUSを切削加工する際は、削り込み量の調整やいかに適した刃物を選定するかも重要となります。

メタルスピードでは、他の鋼材で使用する刃物とは別にステンレス・SUSに特化した刃物を揃えて加工しています。
コーティングされた耐摩耗性に優れた超硬合金の工具や切り粉を逃がしやすい刃物、多刃の物を使用します。

ステンレス・SUSの加工では通常の鋼材と比べて想定以上のコストがかかってしまうこともあるので、弊社では場合によって求められている条件をもとにコストや再現性を考慮して、ステンレス・SUSでの加工と比較して鋼材+メッキ処理といったような提案をさせていただきます。

メタルスピードでは、一般的なSUS304だけでなく、より耐食性のあるSUS316、汎用的なフェライト系のSUS430、SUS630などの析出硬化系ステンレス、熱処理が可能なSUS420、SUS440などのマルテンサイト系のステンレスの製作実績がございます。

フライス加工・マシニング加工だけでは難しい形状でもワイヤーカットや放電加工で加工可能です。
また板金加工や溶接形状にも対応いたします。

Point

ステンレス・SUSは錆びにくく、強度の高い金属です。
種類も多岐にわたり、結晶構造により性質が変わります。
表面処理により見た目の調整をすることもできます。
強度が高い反面、加工難易度も高く、複雑な形状の場合精度や加工費にも注意が必要です。

このサイトはアルミやステンレスなどの金属加工の情報をまとめています。
金属部品の切削加工を中心に、金属加工の依頼だけでなく、設計や加工のご相談も承っているので、不明点などある場合は、お気軽にお問い合わせください。

ステンレス加工・SUS加工のご依頼を承ります。

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