金属加工方法

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熱処理

加工内容

熱処理は金属素材を加熱・冷却により、形状はそのままに性質(硬さ・耐衝撃性・耐摩耗性・耐食性など)を変化させる金属加工です。大きく全体熱処理と表面熱処理に分けられます。

全体熱処理

素材全体の性質を向上させる熱処理です。「焼入れ」「焼きもどし」「焼なまし」「焼ならし」などの一般熱処理と、固溶化熱処理などの特殊熱処理に分類されます。

焼入れ

焼入れは鋼を硬くするための処理です。鋼を組織構造が変化する変態点以上の温度(オーステナイト化温度)まで上昇させると、添加された炭素などの元素が鉄の中に均一に混ざり合い固有します。その状態から急激に冷却します。硬化の程度は鋼に含まれる炭素量によって変化し、炭素量が多いほど焼入れをした時に硬くなります。実用的な硬さを得るには炭素含有量が0.3%以上必要です。また、添加されている合金元素によっても最高硬さや硬化の深さが変化します。

焼入れは機械部品や車両部品のように、強度が必要な箇所に対して行います。真空炉を使用した真空焼入れは、通常の焼入れで生じる表面の酸化や脱炭を防ぐことができます。また、真空焼入れには寸法変化が少なく変形が起こりにくい特徴があります。

焼もどし

焼もどしは焼入れを終えたものを再加熱して硬さを調整しながら、粘りや強靭性を高める工程です。基本的に焼入れと焼もどしはセットで行います。焼入れによって鋼の組織はマルテンサイト化して硬くなりますが、そのままでは脆く残留応力が残った状態です。靭性を高めて衝撃や応力に強くするため、150~650℃の範囲に再加熱します。

150~200℃の低温焼もどしは耐磨耗性(HRC40~45程度)を、550~650℃の高温焼もどしは靭性(HRC25~35程度)を向上させます。400~550℃のバネもどしは弾性を生じさせます。焼入れした後、すぐに焼きもどしを行わないと焼き割れの原因になります。

焼なまし

素材を加工しやすくするために、残留応力がなく軟らかくなった状態にする処理です。素材の組織を均一にする効果もあります。処理が不完全だと組織や硬さが不均一になり、加工中に歪みや反りが発生する原因となることがあります。

目的によって加熱温度が異なります。

  • 完全焼きなまし
  • 目的:柔らかくするため(オーステナイト結晶化する温度)

  • 応力除去焼きなまし
  • 目的:ひずみを取り除くため(500~600℃)

  • 球状化焼きなまし
  • 目的:黒鉛形状を球状にして靭性を高める(650~800℃)

  • 拡散焼きなまし
  • 目的:元素成分の均質化(1050℃~1200℃溶けだす温度の手前)

焼ならし

鋼の組織を均一化する処理です。変態点よりも高めの温度から徐冷します。鋼材は製造過程によって生じたひずみにより組織が不均一になっています。そのままの状態では機械的性質が十分に発揮できないため、均一化するために焼ならしを行います。

結晶粒の微細化、均一化をおこない圧延・鋳造・鍛造などで製造された製品内部に生じた残留応力を除去し、ひずみの発生を防ぎます。焼きならしは炭素が約1%以下の鋼に行われます。

表面熱処理

内部組織はそのままで表面の性質のみ向上させる熱処理です。加熱と冷却による物理的表面硬化熱処理と、浸炭・窒化などの化学的表面硬化熱処理とがあります。

炎焼入れ

炎焼入れは炭素量0.3%以上の鋼材表面をバーナーなどで加熱して部分的に硬度を上げる処理です。全体焼入れより簡単な設備で実施でき、必要な熱量も小さく冷却が簡単なので比較的安価な処理です。加熱速度が速く、温度も200℃以上になるため焼入れ後の冷却の後でも余熱で焼き戻しが可能です。硬化層は1.5~5㎜程度です。

高周波焼入れ

高周波電流から発生する誘導加熱を利用した熱入れ方法です。炭素量0.3%以上の鋼材の表面を硬くします。直接加熱のため熱効率が良く処理時間が短いため、表面にむらがなく焼きが入ります。また、部分的な焼入れも可能です。硬さはHRC45~65、硬化層は0.5~3.0㎜程度です。高い周波数では加熱深さが浅く、焼きが浅く入ります。低い周波数では加熱が深くなるため、焼きが深く入ります。

浸炭焼入れ

金属の表層から炭素を浸透させて表面のみを焼入れ硬化する処理です。炭素量0.3%以下の炭素濃度が低く通常の焼入れができない低炭素鋼に行います。表面を硬くして耐摩耗性を向上し、内部は高靭性を保つことができます。寸法変化が他の焼入れよりも大きいため、寸法精度が必要な箇所には防炭処理が必要です。硬さはHRC45~60で、硬化層は0.5~1.5㎜です。

ガス窒化

窒素により素材の表面に薄い窒素化合物の硬化層を作り、硬度・耐熱性・耐食性を向上させます。アンモニアガスの中で鋼を500~550℃で長時間(40-80時間)加熱した後、徐冷します。浸炭焼入れよりも低温の処理であるため、寸法変化が少ない処理です。硬さはHV600~1100で、硬化層は0.1~0.3㎜と浸炭よりも薄い層になります。

窒化しやすい鋼材:SACM645などの窒化鋼・SCM材・SKD61など(SKH材・ステンレス鋼などにも窒化処理は可能です。)

塩浴軟窒化(タフタイド)

塩浴炉に鋼材を入れて加熱し、鋼の表面に窒素化合物の硬化層を作り、表面を硬化します。ガス窒化と同様に、鋼の変態点よりも低い温度で処理を行うため、焼入れよりも寸法変化が起こりにくい処理です。
軟窒化であれば炭素量に関係なくほとんどの鋼材で処理可能です。硬さはHV400~700で硬化層は10~20μmです。

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納品実績

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