金属加工のワンポイント講座

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金属の反り・歪み(ひずみ)の原因

金属の反りと歪み、これらの変形は加工中に熱や力を加えられることによって生じます。金属切削加工は、高速に回転する刃物もしくは高速で回転させた素材に刃物を当てることで素材を削り取っていく加工です。刃物や素材に大きく負荷がかかる加工方法であるため、反りと歪みへの対策は技術者にとっての課題です。

反り

反りとは、材料が反り返ってしまった状態です。平らな台の上に置くと、加工物と台の隙間から光が漏れて見えることで微小な反りも確認することができます。

歪み(ひずみ)

歪みとは物体に外力を加えた際に生じる、伸び・縮み・ねじれなどの変形のことです。物体は加えられた外力に応じて伸びたり縮んだりと変形します。例えば、金属の丸棒を引っ張ると、引っ張られた方向へ延びます。このときの元の形状から変形した度合いのことを歪みといいます。

歪みは方向により名称が変わります。丸棒の長さ方向の伸び縮みする歪みは縦ひずみ、経方向に伸び縮みする歪みは横ひずみと呼びます。また、歪みの時間的な変化の差異によって静ひずみと動ひずみに分類されます。

静ひずみは歪みの変化が時間でほとんど変化しない歪みで、動ひずみは衝撃や振動などによる変形のように歪みの大きさが変化します。前者には構造物の経年劣化によるひずみ、後者にはブレーキをかけた時に車両が受けるひずみが挙げられます。静ひずみと動ひずみの境目には明確な定義はありません。

反り・歪み(ひずみ)の原因

歪みの原因の1つに残留応力があります。残留応力とは、外力を除いた後も物体内に存在する応力のことです。通常は物体の内側から外側に向かってかかる力と、外側から内側に向かってかかる力のバランスが取れていることで一定の形状を保っています。

このバランスが崩れると、より大きな力が加わっている方向へと変形が起きます。加えられた外力が大きいほど残留応力が大きくなり、この残留応力が大きいほど変形も大きくなります。

素材には元々、形成時の残留応力が残っています。加工によりこのバランスが崩れ、反りや歪みが発生することがあります。そのため、加工する際には素材の残留応力に注意する必要があります。

反り・歪みが起きやすい加工

硬い材質の加工

硬い材質は切削加工時に材料にかかる負荷が特に大きくなります。負荷の大きさに応じて残留応力も大きくなるので、反りや歪みが発生しやすい材質です。ロックウェル硬さ表示でHRC60以上の材質になると切削加工自体が難しくなります。

厚みの薄い形状への加工

薄い形状への加工では、反りが出やすい加工です。薄くなれば薄くなるほど反ります。冶具で固定して削ったとしても、冶具を外せば反り・歪みを生じてしまうことがあります。

鋳造

金属は熱すると膨張し、冷えると縮みます。鋳造とは金属を高温で溶かし、鋳型に流し込んで形成する金属加工方法です。形成する形状によっては、厚みや部位によって熱が冷える速度に差が生まれます。肉厚の薄いところや表面は早く固まり、厚みのある部分や内部は冷えるのに時間がかかります。冷えるのに時間がかかる内部が、周囲の母材を引っ張る向きに残留応力が残り、歪みが起こります。

溶接加工

局所的に加熱→冷却されることで生じる変化から、歪みが起こりやすい加工です。金属は加熱されると金属の原子間の結合力が弱まり、膨張します。ところが周りの母材に固定されているので、原子間の結合力が弱い状態では変形は起こらず元の状態が維持されます。形成するときに冷却されると、分子間の結合力が回復し収縮しようとします。この収縮しようとする力が周囲の母材の拘束力を超えると、変形として現れます。

周囲の母材が変形しやすい柔らかいものであったり、薄い板材であると座屈変形(波打つような形に変形)が発生します。変形として現れなかった力は材料内に残留応力として残ります。特にアルミ板の溶接による変形は、拘束力の作用しない面方向で角変形や曲がり変形が起こりやすくなります。アルミ自体が溶接の難しい素材で、溶接をすると歪みが発生しやすいので加工前に対策が必要です。

ステンレス加工

ステンレスは熱伝導性が低いという性質があります。通常、加工で発生した熱は加工物や切り粉に逃げていきますが、ステンレスの場合は加工物側に逃げる熱の量が少なくなります。その熱がチップの先端にたまり、工具摩擦によって切削抵抗が大きくなり、ますます加工熱が発生するという悪循環を招きます。加工熱が大きくなると、工具の破損だけでなく、被切削物であるステンレスの歪みも大きくなります。加工者の高い加工熟練度や知識が要求されます。

Point

金属の反りや歪みの原因の一つは残留応力です。
硬い材料は加工時にかかる負荷が大きくなり、結果残留応力も大きくなるので反りや歪みが生じやすい傾向があります。
局所的に熱が残る鋳造や溶接も、温度差によって残留応力が発生します。

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