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鉄と鋼の違い

鉄という金属は、実は純度100%の状態では身の回りに使われていません。私たちが目にする鉄と呼ぶものは多くの場合鋼という金属です。この記事では鉄と鋼の違いを鋼の特徴を踏まえながら解説しています。

鉄と鋼の違い

鋼の特徴と鉄との違い

鋼とは、鉄に0.02%~1.7%の炭素を加えた合金で、ほかにも微量にマンガンやリン硫黄なども含んでいます。鉄と鋼の違いは、含有している炭素量の違いからくる物性の違いにあります。鋼は鉄よりも強度と靭性(粘り強さ)、加工性に優れた金属です。鉄は炭素量が0.02%未満の金属で、脆く酸化しやすく加工が困難なため、工業製品の材料としては向いていません。

鋼は炭素量が多いと硬くなる傾向がありますが、その反面、粘り強さが弱くなります。硬いものはその限度を超えるような力がかかると折れてしまいますが、ここで折れにくい性質を靭性が強い(粘り強い)と言います。硬さと靭性は一般的に反比例の関係で、片方が優れるともう片方が劣ってしまいます。

鋼は強度と靭性面で、部品の材料などに適したバランスの炭素量に調整された合金です。どちらの性質を優先するかで炭素量が0.02%~1.7%と開きがあり、それによって種類が分かれています。鋼を材料として選ぶ際には、用途に応じて硬さと靭性(粘り強さ)のバランスを考慮した上で鋼材を選ぶことができます。

材料の強さは、硬さ、粘り強さの他にも耐衝撃性、耐腐食性、耐疲労性、耐磨耗性、耐熱性、耐低温脆性、耐薬品性など多様な面で評価されます。一つの強さだけを見て、その材料の総合的な強さは判断することはできないので、用途に応じて最適な性質を持つ材料を選ぶ必要があります。

鋼の種類

鋼材は主にSS材、炭素鋼鋼材S-C系が一般的です。この2つはJIS規格の規定の違いにより分類されています。SS材は引っ張り、伸びに対しての強度によって規定された靭性(粘り強さ)に焦点を当てた材料です。炭素鋼鋼材S-C系は炭素含有量によって規定された硬さに焦点を当てた材料です。

SS材

正式には一般構造用圧延鋼材という規格です。代表的になものにSS300、SS400、SS490、SS540が挙げられます。SSのあとに続く数字は引っ張り強さの下限を表しています。汎用性が高い鋼材で、様々な分野で使用されます。

その中でもSS400は、比較的安価で板材・丸材ともに多く流通しているため、入手が容易です。常温から中温域(350℃)まで安定しており、この温度帯域でよく使用されます。鉄鋼系の中では耐熱性は低い方に入ります。SS400の硬度について規格には記載がありませんが、SS400は低炭素鋼(炭素含有量0.15%~0.2%)なので鉄鋼材料の中では軟らかい材料に分類されます。そのため、摺動部位(高い硬度、耐摩耗性が必要な箇所)には適していません。

また、SS材は成分規格がないため、溶接加工には不向きです。溶接性が求められる場合にはSM材など溶接に向いた鋼材が適切です。

炭素鋼鋼材S-C系

正式には機械構造用炭素鋼鋼材という規格です。SC材とも呼ばれます。鋼材名の中の数字が炭素量を表しており、代表例である「S45C」であれば、0.45%程度の炭素が含まれている、ということを表しています。規定では炭素量に応じてS10CからS58Cまで20種類のものがあります。硬度・強度を焦点を当てた鋼材で、この2つの物性に優れています。熱処理や溶接加工もしやすいなど、SS材より優れた面が多く、その分比較的高価な鋼材です。精密機械や重要な部品に使用されます。

SS材と炭素鋼鋼材S-C系の使い分け

SS材は靭性(粘り強さ)に規定された弾性の面で優れた特性を持っています。そのため靭性を求められる場面で比較して検討するのに向いた鋼材です。硬度や強度に規定されていないので、硬度・強度の高さが必須な重要部品、主要な部材などには炭素鋼鋼材S-C系が適しています。

例えばSS材代表のSS400と、炭素鋼鋼材S-C系代表のS45Cを比較すると、SS400は硬度が400[N/mm^2]に対して、S45Cは生材でも570[N/mm^2]あり硬度に差がありますさらにS45Cは熱処理で硬度を690[N/mm^2]以上に上げることができます。ベアリングを嵌めるためのシャフト形状のもの、回転数が速く、力も加わりやすい回転する形状が必要であれば、S45Cの方が適しています。S45Cは硬度・強度に優れており、摺動部位に強い性質を持っているからです。一方で同じ形状でも、負荷が軽い箇所、多少の振動があっても問題がないような環境であれば、安価なSS400が適している場合があります。

Point

・鋼は鉄に0.02%~1.7%の炭素を加えた合金で、強度や靭性に優れた金属です。
・鋼材の中でも炭素量の違いにより強度や靭性などの優劣が変化します。炭素量が少なくなると靭性が優れ、多くなると強度が優れる傾向があります。
・鋼材の代表種にはSS材と炭素鋼鋼材S-C系とがあり、前者は安価で汎用性が高く靭性が優れ、後者は硬度・強度に優れた特徴があります。

SS400・S45CなどのSS材、炭素鋼鋼材S-C系の金属加工はお任せください。

SS材、炭素鋼鋼材S-C系の素材選定や設計の課題があれば一度お問い合わせください。
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